近年、フリーランスになることが話題になっていますが、「言うは易く行うは難し」です。
多くのアーティストにとって、フリーランスのイラストレーターとして働くことは、クリエイティブな自由を手に入れるための手段です。
クリエイティブな自由を手にする一方で、さまざまな責任を伴うこともあるのが事実です。
フリーランスのイラストレーターになるにはどうしたらいいのかと悩んでいる方のために、そのヒントを紹介しようと思います。フリーランスになるのは簡単なことではありませんが、以下のヒントを心に留めておけば、成功への道が開けるはずです。
1. どんな仕事があるか理解する
どんな職業でもそうですが、まずは仕事の内容を理解することが成功への第一歩です。
イラストを描くことはとても簡単なことですが、この業界にはどのような仕事があるのかを知っておく必要があります。最新の調査によると、最も人気のあるイラストレーションのプロジェクトの種類は、順に以下の通りです。
- 出版・編集関係の仕事
- 個人的な依頼や展示作品
- 広告素材
- プロダクトデザイン
- アニメーションやモーショングラフィックのプロジェクト
ニッチな市場で高い評価を得ていない限り、複数の仕事を掛け持ちすることになります。フリーランスであれば、複数の仕事を掛け持ちすることは珍しいことではありません。どの分野でも常に仕事があるわけではないので、一つの企業ではなく複数の企業から仕事を受注することが収入を安定させる大事なコツです。
資格がなくてもイラストレーターになれる?
シンプルな答えは「イエス」です。イラストレーションの学位がなくても、フリーランスのイラストレーターになることは可能です。業界の多くのアーティストはイラストレーションの学位を持っていませんし、ほとんどのクライアントはデザイナーのポートフォリオの質で判断します。
しかし一方で、有名な漫画家のおよそ半分は専門に美術・芸術を卒業したことは事実です。
下記の記事で有名漫画家が専門的な学校を卒業した話をしているので是非こちらも併せて読んでみてください。
フリーランスになる前にお金を貯めよう
フリーランスの仕事は、良いときはたて続けにお仕事の依頼がありますが、悪いときは途絶えてしまうことがあります。さらに知っておいていただきたいのは、報酬の額が本当にさまざまだということです。30万のプロジェクトもあれば、1万のプロジェクトもあります。一般的に、報酬は以下のようないくつかの要素によって決まります。
- イラストレーションの目的
- 著作権を販売譲渡するのか
- 著作権を保持したまま利用料をもらうのか
- あなたの経験レベル
- 完成・納品までにどれくらいの時間がかかるか
フルタイムのフリーランス・イラストレーターとしてスタートした場合、一般的には多額の定期収入を得ることはできません。そのため、最低でも半年間は追加収入がなくても大丈夫なように貯金をしておく必要があります。
フルタイムのフリーランスになるつもりがないのであれば、時間をうまく管理して、本業とイラストの仕事を両立させましょう。
2. 説得力のある強力なポートフォリオを作る
フリーランスでイラストレーション業界の概要を理解したところで、注目すべきポートフォリオを作成してみましょう。
ウエブサイトでポートフォリオを作成する
プロフェッショナルでユーザーに理解されやすいウェブサイトが、の見込み客の関心と信頼を得るための鍵となることは言うまでもありません。
そのためには、独自のドメイン名を取得し、場合によってはそのドメイン名を使った電子メールアドレスも用意しましょう。
質の高い作品・実績を選んで整理する
ポートフォリオの内容については、量よりも質を重視してください。
イラストレーターを目指している人は、自分の作品のサンプルをできるだけ多く記載したいと思うかもしれませんが、実際には、自分が採用されたいと思っている仕事に最も近いテイストのものを選ぶのが賢明です。
例えば、児童書のイラストレーターを目指しているなら、児童書の作者の目を引くために、アナログ絵のような優しい作品を紹介するのがベストです。
採用されたい仕事に似た作品でポートフォリオを埋めましょう
機能的なポートフォリオにするために
様々な作品がある場合は、カテゴリーごとに整理して、ポートフォリオを見やすくしておきましょう。
クライアントが連絡をしやすいように電話番号やメールアドレスは目につくところに設置しポートフォリオの中に紛れ込ませないことが重要です。
ブランドイメージを重視する
フリーランスの場合、自分のアーティストブランドを反映したウェブサイトを作るべきだと思います。
美的に一貫性のあるプロフィールをデザインしましょう。
自分の作品や専門分野の明確なスタイルは何ですか?言い換えれば、あなたのユニークなセールスポイントは何ですか?
すべての作品サンプルは、自分のセールスポイントを証明するものでなければなりません。そして、デザインのユニークさが際立つようにレイアウトしましょう。
3.SNSを活用しよう
フリーランスになるということは、常に自分を売り込むということでもあります。多くのメディアが氾濫している現代社会において、SNSほど最適な場所はありません。
イラストレーターにとって、Instagramのような画像ベースのサイトは欠かせません。正しく使えば、ポートフォリオ代わりにもなります。
SNSのメリット
例えば、メニューのデザインを必要としているレストラン経営者や、友人のために特別に作られたプレゼントを探している人など、業界に精通していなくてもイラストレーターを必要としている人はいます。
クリエーターの会員サイトは利用していなくても彼らはSNSを見ている可能性が高いです。
SNSに登録しておけば、もしかしたらチャンスがあるかもしれません。
また、依頼されたものや自分で始めたものなど、自分のプロセスやプロジェクトをSNSで共有することで、イラストレーションコミュニティとの交流を深めることができます。
他の経験豊富なアーティストとのつながりを持てば、彼らも自分の知恵を教えてくれるでしょう。イラストレーターには、独自の成長を続ける支援ネットワークがあり、仲間のクリエーターが仕事を紹介してくれることもあるので、ぜひ交流を深めてください。
4. クライアントと良好な関係を築く
マーケティングの話題のついでに、クライアントについても触れておきましょう。起業したばかりの頃は、リピーターの獲得よりも新規顧客の獲得に力を入れることが多いでしょう。しかし、フリーランスのイラストレーターの仕事の多くは、リピーターや紹介によるものなので、早い段階からクライアントがどのように仕事を振ってくれるか、クライアントのネットワークなどを意識しておくことが大切です。
良い仕事をするために
仕事を始める前にクライアントの製品やサービスをよく調べ、対策を考えておくことで、良いスタートを切ることができます。
クライアントは最高の商品を作る手助けをイラストレーターに求めています。求められていることを正しくをアピールすることで、すんなりと話を進めることができます。
もし、すぐに連絡がなくても、求められているものに近い作品を見せることができたら、クライアントは信頼できる熱心なフリーランサーの一人としてまた必要が生じたときに連絡してくれることでしょう。
また、売り込みの際には、クリエイティブなアプローチも忘れてはいけません。例えば、オンラインだけに頼っている他のイラストレーターと差別化するために、地元の企業にハガキやパンフレットを送るなどアピールの仕方を工夫してみましょう。
契約書をしっかり書く
依頼やオファーを受けたら、次のステップとして、契約書を作成しましょう。誤解を招かないように、お互いが協力関係の条件を理解していることを確認しましょう。以下は、踏まえておかなければならない、いくつかの重要なポイントです。
著作権とライセンスに関する事項
相手に著作権を与える場合は、相手に多くの料金を請求する必要があります。
キャンセル料
プロジェクトの範囲にもよりますが、クライアントにはプロジェクトがキャンセルされた場合の手数料、支払いが遅れた場合の手数料のいずれかを要求する必要があります。しかし、短期間の仕事であれば、これらは不要です。
プロジェクト終了後も連絡を取り合う
すべてが順調に進んでいれば、プロジェクトが終わっても継続的に仕事をくれるかもしれません。そして、他の顧客にも推薦してくれるでしょう。より積極的なアプローチとして、イラストレーションを必要としている人がいないかどうかを尋ねることも可能です。
また、以前からの顧客には、新しい仕事がないかどうかを確認するために、時々メールを送ることをお勧めします。この場合も、いきなり仕事の話では節操がないので仕事の話に移る前に、相手の様子をうかがうなどして、個人的な世間話も伝えるようにしましょう。
5. 財務管理
最後に、フリーランスのイラストレーターになるためのヒントとして、かなり面倒な作業である財務管理に関する実践的なアドバイスをご紹介します。
- フリーランス用の銀行口座を開設する。
- 請求書のフォーマットを作る。
- 会計ソフトを使って、すべての収入と支出を記録する。
- 十分な収入が見込めたら、独立して個人事業主(フリーランス)になる
常に財務状況を把握しておくことで、予算を立てたり、最悪の事態に備えたりすることができます。また、クライアントからの支払いが滞っていることを簡単に把握できるので、連絡のタイミングを考えることもできます。
フリーランスの仕事で税金を払う必要が出てきたら、個人事業主として登録することを忘れないでください。在宅での仕事に必要なもの(光熱費、購入したコンピュータや文房具など)について、税金の控除を受けることができます。
もちろん、フリーランスは前途多難で、しばらくは複数の仕事を掛け持ちしなければならないかもしれません。
しかし、努力を続ければ結果的には、創造的な自由を得られることができ、すべての苦難に勝る報酬となるでしょう。